数多の見世が軒を連ね、日に千両舞う吉原で、競い咲く三つの楼閣があった。
絢爛華麗な見目と振舞いから、人々の賞賛と憧憬を集める満天屋。
粋と愛嬌は界隈随一、瀟洒なもてなしで惹き付けて離さぬ燕屋。
教養と風情があり、唄に舞に芝居にと風雅な芸で魅了する百花屋。
三つの花は頂点を懸け、常に激しく競り合っており、芸技はさらに磨かれた。
足繁く通う娘たちを前に、男の意気はますます譲れぬものとなった。
星を掃うほどに煌々と輝く不夜城で、彼らはひとときの熱を与える。
それは"欲望を叶える場所"。
いずれの花も選ぶは貴女。今宵いずこで夢を見る――。